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アーモンドフロランタン

今日はバレンタイン。バレンタインといえば、小中学生のときはチョコをもらえるかドキドキしたような気がする。高校生になってイベント行事みたいなことが大嫌いになって「イベント行事は商業主義に染められたバカがやることだ!バレンタインもクリスマスもお正月もクソ喰らえ!」とかじぶんでもよくわかってないこと考えて、クソ喰らわせようとしてた。大学生になってから塾の先生を始めて生徒さんに何個かお菓子を貰うようになって、「かわいらしいな」って思ってた。なにより「イベント行事」を大好きになってる自分がいて、バレンタインもクリスマスもお正月もお祭りも楽しめばいいじゃん。楽しいんだから。って思うようになった。「リア充」して楽しむのもいいし、「非リア充」して「リア充」にクソ喰らわせてるのを楽しむのもいいし。なんにしても楽しいから楽しいよ。

「アーモンドフロランタン」。友達の女の子がバレンタインに作ったらしいんだけど、「魔法使いだね」って思ってる。「アーモンドフロランタン」。たぶん彼女が友達じゃなかったら一生知らなかったんじゃないかなって。世の中にはじぶんの知らないことがたくさんあるってこと。わかっている気でいるけど、「アーモンドフロランタン」みたいな言葉に出合うと頭がバーンってなる。

じぶんのしらないことを教えてくれる魔法使いは身近にたくさんいて、スターバックスにいるひとたちなんて、みんな魔法使いだと思ってる。レジの前でみんな呪文を唱えてて、魔法の番人みたいなひとたちがそれを物体にして魔法使いに出してる。魔法使いの集会場にボクはほとんど行ったことがないし、行っても「アイスティー一番小さいので」っていう俗世の言葉しか話したことがない。

でも、スウェーデンストックホルムといかいう魔法の国みたいなところで、魔法使いの集会場に連れて行かれてしまったことがあって、一緒にいた友達と「なににする?」「なんでもいいよ」「チョコでいい?普通のとホワイトチョコがあるって」「ホワイトで」みたいな会話をしたのを鮮明に覚えてる。「トッピングどうする?」「トッピング?」「チョコとか乗せるの」「んじゃホワイトチョコ」。

オレどんだけホワイトチョコ好きなんだよ。もう意味がわからないよ。甘い飲み物に甘いお菓子乗せるってなんなの。って思った。よくわからないし、なによりこわいからぜんぶ注文任せてお店を出た。「ワタシはトッピング、マシュマロにしたよ」だって。もう魔法使いホントにこわいよ。マシュマロ乗せるの?マシュマロ乗せるなんて発想、はじめて納豆食べたひとよりすごいよ。納豆食べた人と同じぐらいじぶんを評価して。この子も魔法使いなんだ。って思って頭がバーンってなった。

知らない言葉を使う人のことを「魔法使いだ!」って思うのは昔からの癖で、大人が「生!」って言ったら生ビールが出てくるのが小さい頃とても不思議だった。「生!」って言えば、「生ビール!」。大人はすごいなって、みんないろんなことを知ってるんだなって、思ってた。いまじゃボクも魔法使いになってて「生!」っていう不思議な呪文を当たり前のように使ってる。

「アーモンドフロランタン」。また一つヘンテコな呪文を覚えたけど、その呪文がドラクエの「ホイミ」ぐらい多用される世界には行けないなって思った。その世界には行けないけど、その世界の住人の彼女もボクが住んでる世界に住んでるし、なんかもうみんなすごいねって。「アーモンドフロランタン」とかいう呪文を知ってて、それを物体にしてしまう人がボクの友達なんだって。

ボクの友達には、アーモンドフロランタンを作る人もいれば、マシュマロを飲み物に乗せる人もいて、音楽が立体的に見える人もいる。たぶんボクも、彼ら彼女らにとっては、魔法使いなんだろうけど、どんな呪文を知ってて、どんな魔法が使えるのかはわからない。いろいろな魔法があるこの世界が好きだし、ボクも人の頭バーンってできる魔法使いになれたら嬉しいなって。そんなことを思うバレンタインだった。